師である、恵一さんの思い

「エグみのある野菜が出来るのは、畑が苦しんでいる証拠です。」
こう語るのは、私たちの農業の師であり、「めぐみ農法」の創始者・佐藤恵一さんです。

現代の農業は、化学肥料と農薬に頼りすぎた結果、
野菜は本来の栄養やうまみを失い、畑も川も空気も、静かに蝕まれています。
私は、この「間違った豊かさ」を変えたい。
本当に安心して食べられて、心から「おいしい!」と言える野菜を、次の世代に残したい。

そんな思いから、恵一さんは独自の農法を研究し続けてきました。

あいさいファーム嬬恋 立ち上げのきっかけ

話は2024年の9月にさかのぼります。

恵一さんと始めてお会いした日に、とうもろこし畑に連れていっていただき
「ほれ、食ってみて」と、もぎたてのとうもろこしを差し出してくれました。
生のまま食べてみたところ、これまで食べたことのないような美味しさが
口の中に広がり、笑顔が自然とこぼれ「うまい!」と一言伝えると、
恵一さんも「そうでしょ!」と嬉しそうに笑顔を返してくださいました。

そんな恵一さんのとうもろこしが群馬県のブランド推進事業の一環として、
上毛新聞にも取り上げられたのが2023年の8月のこと。
その記事からは、地域や行政から多くの期待が注がれていたことが伺えました。

そんな恵一さんが、「自分の信じている農業を後世に残したいが、それは難しいかな」
と少し寂しそうに呟かれたのが、心にグサッと刺さりました。

このおいしさと、恵一さんのこだわりのとうもろこしとその農法を
どうにか残す方法はないかなと模索を始めたのが、
あいさいファーム嬬恋の立ち上げのきっかけでした。

地域承継という新たな挑戦

そこで浮かんだのが、地域承継というアイデアでした。
「恵一さん、嬬恋村の若い農家たちに恵一さんの農法を承継し、
後世に残していくのってどう思いますか?」
好奇心溢れる恵一さんは「そりゃ面白そうだなー」と二つ返事で乗ってきました。

それが2024年の10月の話です。

そこから、恵一さんの農法に惚れ込んだ若手農家たちと
一緒に立ち上げたのが、あいさいファーム嬬恋です。

そして冬の間をかけて、勉強会や視察、研究や打ち合わせを繰り返しながら春を迎え、
本格的なめぐみ農法の承継がはじまりました。

「めぐみ農法」の伝授

恵一さんが30年かけて培ってきた技術の承継がはじまりました。

「発酵」と「微生物のちから」、そして「酵素」に着目した恵一さん独自の「めぐみ農法」。
発酵堆肥で土の“腸内環境”を整えることから始まり、農薬の使用を最低限に抑え、
自然の循環で育て、硝酸を排しアミノ酸を増幅させながら、作物本来の味と栄養を最大限に引き出していく。

この農法は、単に「安全な野菜を育てる」だけでなく、畑を本来の“生きた土”に戻し、
未来の農業と地球を守る第一歩でもあると恵一さんは教えてくださいました。

それはとても貴重な体験で、若手農家たちも、これまでの農業の現場で
培ってきた技術と感性を生かしながら、どんどん吸収していきました。

わたしたちあいさいファーム嬬恋は、恵一師匠のめぐみ農法の名に恥じぬよう
向上心を持って理想のとうもろこしを追求し続け、日本一の野菜ブランドを目指していきます。